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和歌ブログ [Japanese Waka]

国文系大学院生がひたすら和歌への愛を語る記録

夏歌(Summer)

夏の和歌 沢の水に星がうつっているかと思ったら蛍でしたよ ― 沢水に空なる星のうつるかと見ゆるはよはの蛍なりけり

宇治前太政大臣卅講ののち歌合し侍りけるに蛍を詠める沢水に空なる星のうつるかと見ゆるはよはの蛍なりけり (後拾遺集・夏・藤原良経・217) 現代語訳 沢の水に空の星が映っているかと見えたのは夜半に輝く蛍でしたよ。 内容解説 蛍、見たことがあるでしょ…

夏の和歌 あの山のむこうも、もうきっと日が暮れている ― ひぐらしの鳴く山かげは暮れぬらむ夕日かかれる峰のしら雲

ひぐらしの鳴く山かげは暮れぬらむ夕日かかれる峰のしら雲 (内裏百番歌合・夏・藤原知家・70) 現代語訳 ひぐらしの鳴く山陰は(もうそろそろ日が)暮れているようだ。夕日がかかっている峰の白雲(が茜いろに染まっているよ)。 内容解説 夏の夕暮れはよい…

夏の和歌 木の葉に雨がたたきつけられてセミの声が静かになる ― 蝉のこゑは風にみだれて吹きかへす楢の広葉に雨かかるなり

蝉のこゑは風にみだれて吹きかへす楢の広葉に雨かかるなり (風雅集・夏歌・夏の歌の中に・二品法親王尊胤・419) 現代語訳 (真夏の日差しが照りつける中、急に吹き下ろした冷たい風に)蝉の声は風に乱れて吹き返される。(にわかに空がかき曇ったかと思う…

夏の和歌 炎天下に風が止まるとどうしようもないよね ― 水無月の草もゆるがぬ日盛りに暑さぞしげる蝉のもろ声

水無月の草もゆるがぬ日盛りに暑さぞしげる蝉のもろ声 (拾玉集・日吉百首和歌・夏十首・426) 現代語訳 6月の(猛暑のころに頼りの風も止んでしまって)草ひとつそよがない炎天下に(じりじりと)暑さを増してゆく蝉の声々。 内容解説 旧暦と新暦は1ヶ月ほ…

夏の和歌 天使のはしごが露をつらぬく ― むら雲はなほ鳴る神のこゑながら夕日にまがふささがにの露

むら雲はなほ鳴る神のこゑながら夕日にまがふささがにの露 (後鳥羽院御集・正治初度百首・夏十五首・32・12世紀) 現代語訳 (雨がやんでも空を覆う)群雲はなお雷の音を響かせていながら西の空は雲が切れて夕日(が射し込みその光そのもの)と見間違えそう…

夏の和歌 夏、暑い、もう無理 ― いかにせん夏はくるしきものなれや衣かへても暑さまされば

いかにせん夏はくるしきものなれや衣かへても暑さまされば (天喜四年四月九日或所歌合・作者不明・2) 現代語訳 どうしたらいいのでしょう。夏は苦しいものですよ。(涼しいはずの)夏服に着替えても(涼しくなるどころか)暑さがます(ばかりな)ので(も…

夏の和歌 夏の納涼、ふたり連れ ― みそぎする賀茂の河風吹くらしも涼みにゆかん妹をともなひ

みそぎする賀茂の河風吹くらしも涼みにゆかん妹をともなひ (好忠集・六月中・曽祢好忠/男性・174・10世紀) 現代語訳 六月祓をする賀茂の川風が(涼しく)吹いているようだ。涼みに行こう。妻といっしょに。 内容解説 前回と、前々回の続き。ごろごろだら…

夏の和歌 夏の夕暮れ、まどろみの時 ― 入り日さしひぐらしの音を聞くからにまだきねぶたき夏の夕暮れ

入り日さしひぐらしのねを聞くからにまだきねぶたき夏の夕暮れ (好忠集・六月をはり・曽祢好忠/男性・161・10世紀) 現代語訳 (だらだら昼寝をしていたらいつのまにか)夕日が部屋に射しこむ時間になって、ひぐらしの声を聞いたらやっぱりまだねむたい(…

夏の和歌 夏の午後、まどろみの午後 ― 妹とわれ寝屋の風戸に昼寝して日たかき夏のかげをすぐさむ

妹とわれ寝屋の風戸に昼寝して日たかき夏のかげをすぐさむ (好忠集・六月終はり・曽祢好忠/男性・178・10世紀) 現代語訳 (暑い日は)妻とわたしと寝室の(涼しい)風が通る戸の近くで昼寝をして、(だらだらと)日の高いあいだの夏の暑さをやりすごそう…

夏の和歌 涼しさがうれしいのは夏だからだよね ― 蝉の鳴く木末を分けて吹く風に夏を忘れて夏にこそあへ

蝉の鳴く木末を分けて吹く風に夏を忘れて夏にこそあへ (他阿上人集・夏・他阿上人/男性・882・13世紀) 現代語訳 蝉が鳴く木々の梢をわけて吹き下ろす風の涼しさに、(思わず)夏の暑さを忘れて(涼んだと思ったけれど、そうではなくて、夏を忘れさせるこ…

夏の和歌 夜の清水に月が映る ― さらぬだに光涼しき夏の夜の月を清水にやどしてぞみる

さらぬだに光涼しき夏の夜の月を清水にやどしてぞみる (千載集・夏歌・題しらず・顕昭法師・213・12世紀) 現代語訳 ただでさえ(夜空にあるだけで)光涼しく見える夏の夜の月を冷たい清水に映して見る(時の、なんと清らかに澄みきった輝きだろう)。 内容…

夏の和歌 はるかな夏の海 ― 潮満てば野島が崎のさゆり葉に浪こす風の吹かぬ日ぞなき

夏草をよめる潮満てば野島が崎のさゆり葉に浪こす風の吹かぬ日ぞなき (千載集・雑・源俊頼/男性・1045・11世紀) 現代語訳 「夏草」という題で詠んだ(歌)(夏のあいだ中、)潮がみち(てくる時間にな)れば、野島が崎の(岸辺に揺れる)小百合の葉の上に…

夏の和歌 風に吹かれて夏をすごす ― 永日すらながめて夏を過ぐすかな吹きくる風に身をまかせつつ

永日すらながめて夏を過ぐすかな吹きくる風に身をまかせつつ (好忠集・六月はじめ・曽祢好忠/男性・163・10世紀) 英語(English) 現代語訳 (夏の)ながい一日でさえ(ただ空を)ながめて夏をすごしています。吹きくる風にただ身をまかせつつ。 内容解説 …

Japanese Waka-Summer:Spending summer days while being in a breeze of wind – Nagabisura nagametenatuwo sugusukana fukikurukazeni miwomakasetsutsu.

Nagabisura nagametenatuwo sugusukana fukikurukazeni miwomakasetsutsu. (Yoshitada Collection (also know as: Sotan (曾丹) Collection), an early June, Sone no Yoshitada / male, 163,10c) Japanese(日本語) Translation into modern Japanese I sp…

五月雨の和歌 あやめの香る雨のしずくに ― 五月雨の空なつかしきたもとかな軒のあやめの香るしづくに

五月雨の空なつかしきたもとかな軒のあやめの香るしづくに(拾玉集・秀歌百首草・夏十五首・慈円/男性・3087・12世紀) 現代語訳 五月雨の空に心ひかれる(までに香るわたしの袖の)袂であることよ。軒に葺いたあやめが香る(五月雨の雨とともにしたたりお…