大学受験によく出る古典文法
おねえちゃんばっかりずるい! まあ、あるよねえ。お姉さんはもう就職しているのです。「内に侍るむすめ」ですから内裏にお仕えしているエリート女性です。内裏にお仕えするというのは支度だけでもけっこうなお金がかかるもので、あの十二単衣がまず高価。持…
ひぐらしの鳴く山かげは暮れぬらむ夕日かかれる峰のしら雲 (内裏百番歌合・夏・藤原知家・70) 現代語訳 ひぐらしの鳴く山陰は(もうそろそろ日が)暮れているようだ。夕日がかかっている峰の白雲(が茜いろに染まっているよ)。 内容解説 夏の夕暮れはよい…
蝉のこゑは風にみだれて吹きかへす楢の広葉に雨かかるなり (風雅集・夏歌・夏の歌の中に・二品法親王尊胤・419) 現代語訳 (真夏の日差しが照りつける中、急に吹き下ろした冷たい風に)蝉の声は風に乱れて吹き返される。(にわかに空がかき曇ったかと思う…
水無月の草もゆるがぬ日盛りに暑さぞしげる蝉のもろ声 (拾玉集・日吉百首和歌・夏十首・426) 現代語訳 6月の(猛暑のころに頼りの風も止んでしまって)草ひとつそよがない炎天下に(じりじりと)暑さを増してゆく蝉の声々。 内容解説 旧暦と新暦は1ヶ月ほ…
いかにせん夏はくるしきものなれや衣かへても暑さまされば (天喜四年四月九日或所歌合・作者不明・2) 現代語訳 どうしたらいいのでしょう。夏は苦しいものですよ。(涼しいはずの)夏服に着替えても(涼しくなるどころか)暑さがます(ばかりな)ので(も…
春のあしたといふ事をひらけそふ木ずゑの花に露みえて音せぬ雨のそそく朝あけ (風雅集・春歌・進子内親王/女性・198) 現代語訳 次々と開いて数が増えてゆく梢の桜に(ちいさな)露が見えて(いると思ったら、そうではなくて)音もたてない(やわらかな)…
夕花を花のうへにしばしうつろふ夕づく日いるともなしに影きえにけり (風雅集・春歌・永福門院/女性・199) 現代語訳 (夕方の光に照らされた)花の上にしばし揺らぎとどまる夕日(を見つめていたら)、いつ沈んだともわからないうちにふっと消えてしまい…
冬さむみ霜さゆる夜も明けぬれどあさぶすまこそぬがれざりけれ (永久百首・冬十二首・衾・顕仲・386) 現代語訳 冬の寒さのせいで霜が冴え冴えと冷える夜も(ようやく)明け(て、少しはあたたかくなっ)たけれど、朝のふとんを脱ぐなんてことは絶対にでき…
つひにみな消えなむことを思ひしるあかつきがたのうづみ火のかげ (公衡集・賦百字和歌七月九日午時以後三時詠之・うづみ火・68) 現代語訳 (そうはいっても)最後には全て消えてしまうと思い知るのです。(この一晩をあたためてくれて朝を迎えた)明け方の…
うれしくも友となりつつうづみ火の明け行く空になほ残りける(公衡集・賦百字和歌七月九日午時以後三時詠之・うづみ火・67) 現代語訳 (冬の夜、)嬉しいことに、一晩中友だちとして寄り添っていた(炉火のわずかな)残り火が、(翌朝)ほのぼのと明けゆく…
あるじなき庭の千草の花盛りいかばかりかは秋は悲しき (現存和歌六帖・秋のはな・前大納言基良・447) 現代語訳 (家の)主がいなくなったこの庭の千草の花も(秋を迎えて今を)盛り(と咲き乱れている)。ああ、どれほど秋は悲しいことか。 内容解説 秋の…
草木まで秋のあはれをしのべばや野にも山にも露こぼるらん (千載集・秋歌上・題しらず・慈円・263) 現代語訳 (人が秋のあはれに心動かされるのはあたりまえのことだけれども、心を持たないはずの)草木まで秋のせつなさに心を寄せているから、野にも山に…
百首歌召しける時、月のうたとて詠ませ給うける石ばしる水のしら玉かず見えて清滝川にすめる月影 (千載集・秋歌上・藤原俊成・284) 現代語訳 百首歌を提出させなさった時、月の歌という歌題で お詠ませになった (歌)石の上を走り流れる水(の真珠のよう…
心地損なへりけるころ、あひ知りて侍りける人の訪はで 心地おこたりてのちとぶらへりければ、詠みてつかはしける 死出の山ふもとを見てぞ帰りにしつらき人よりまづ越えじとて (古今集・恋歌五・兵衛/女性・789・9世紀) 現代語訳 (私が)病気をしていたこ…
木のまより洩り来る月の影見れば心づくしの秋は来にけり (古今集・題しらず・よみ人しらず・184) 現代語訳 木々の枝葉からもれこぼれてくる(秋の)月の(玲瓏たる)光を目にすると、ああ今年も秋が、物思いの限りを尽くす秋が来たのだなあ(と思われる)…
みそぎする賀茂の河風吹くらしも涼みにゆかん妹をともなひ (好忠集・六月中・曽祢好忠/男性・174・10世紀) 現代語訳 六月祓をする賀茂の川風が(涼しく)吹いているようだ。涼みに行こう。妻といっしょに。 内容解説 前回と、前々回の続き。ごろごろだら…
蝉の鳴く木末を分けて吹く風に夏を忘れて夏にこそあへ (他阿上人集・夏・他阿上人/男性・882・13世紀) 現代語訳 蝉が鳴く木々の梢をわけて吹き下ろす風の涼しさに、(思わず)夏の暑さを忘れて(涼んだと思ったけれど、そうではなくて、夏を忘れさせるこ…
夏草をよめる潮満てば野島が崎のさゆり葉に浪こす風の吹かぬ日ぞなき (千載集・雑・源俊頼/男性・1045・11世紀) 現代語訳 「夏草」という題で詠んだ(歌)(夏のあいだ中、)潮がみち(てくる時間にな)れば、野島が崎の(岸辺に揺れる)小百合の葉の上に…
をとこのもとにつかはしけるはかなくておなじ心になりにしを思ふがごとは思ふらんやぞ (後撰和歌集・恋一・中務/女性・594・10世紀) 現代語訳 (あなたが私をどれほど愛しているか)確かめないまま同じ心になってしまいましたものの、(私があなたを)愛…
ながらへて生けらばのちの春とだに契らぬさきに花の散りぬる (新後撰集・雑歌・後深草院弁内侍/女性・1252・13世紀) 現代語訳 (私がこの命を)ながらえて生き続けることができたならば、また次の春に(きっとお逢いしましょう)と、せめてそれだけで も…
五十の御賀すぎてまたの年の春、鳥羽殿のさくらの盛りに、 御前の花を御覧じて、よませ給うける心あらばにほひを添へよさくら花のちの春をばいつか見るべき (千載集・雑歌・鳥羽院/男性・1052・12世紀) 現代語訳 五十歳の祝賀を行った次の年の春、離宮の…
桜花咲ける尾上は遠くともゆかむかぎりはなほゆきて見む (躬恒集・屏風・凡河内躬恒/男性・415・9世紀) 現代語訳 桜の花が咲いている山の頂は(どれほど)遠くとも、行きうる限りはやはり(桜を見に)行って見たいよ。 内容解説 春と言えば桜だ、というの…
あひ見てはなぐさむやとぞ思ひしを名残しもこそ恋しかりけれ (拾遺集・恋二・題しらず・坂上是則・711・10世紀) English(英語で読む) 現代語訳 (あなたに)逢ってみたら(今までのつらい気持も)慰められるだろうと思ったのに、(あなたに逢った)その…
賀茂に常につかうまつりける女房の、久しく参らざりける、夢に、ゆふしでのきれに書きたりけるものを、直衣着たりける人の賜はせけるを見れば、 思ひ出づや思ひぞ出づる春雨に涙とり添へ濡れし姿をとありけるを見て、夢さめにけり。あはれと思ふほどに、手に…
百首歌たてまつりし時、春の歌山ふかみ春ともしらぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水 (新古今集・春歌・式子内親王・3・12世紀) English(英語で読む) 現代語訳 百首歌を献上した時、春の歌(という題でよみました歌)山が深い(ために雪の多く積った所に…
敬語「侍り」 格助詞「の」 けしき 「に」の識別 係助詞「こそ」
こんにちは。ななこです。 English(英語で読む) 和歌ブログは、古典の中のすてきな和歌をみなさまにご紹介するサイトです。古典を読みたいけど、どこから読めばいいのかわからない方、手軽に読める本は有名な古典ばかりで飽きちゃったという方、原文のまま…