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和歌ブログ [Japanese Waka]

国文系大学院生がひたすら和歌への愛を語る記録

雑歌

雑の和歌 友達が挨拶してくれなかったので つづき ― 玉桙のみちゆきずりに訪はずともつねに心はゆきかふものを

きのうのつづきなんですけれど、一言かけろよと言ってきた友人に返した歌です。連絡はしなかったけど友情はかわらないよ☆ みたいな返事。歌の内容については、いいです。このやりとりを歌でおこなったということが、現代には失われた人間関係の構築のしかた…

雑の和歌 友達が挨拶してくれなかったので ― 親しきも疎きもなしと聞きしかどわきてしもやは訪ふべかりける

親しいお坊さんがですね、自分の住んでいるところのとなりに来ていて、何の用か知らないですけど、来ているのに自分に何も言ってこなかったんです。うーん、この、この微妙な距離感。いや、となりに来たお坊さんからすれば、別にその友達に用があって来たわ…

雑の和歌 おとうさんといもうと(むずかしいお年ごろ) ― ひとりには塵をもすゑじひとりをば風にもあてじと思ふなるべし

おねえちゃんばっかりずるい! まあ、あるよねえ。お姉さんはもう就職しているのです。「内に侍るむすめ」ですから内裏にお仕えしているエリート女性です。内裏にお仕えするというのは支度だけでもけっこうなお金がかかるもので、あの十二単衣がまず高価。持…

海の和歌 夕べの波間に舟がゆれる ― 夕潮のさすにまかせてみなと江のあしまにうかぶあまのすて舟

夕潮のさすにまかせてみなと江の葦間にうかぶあまのすて舟 (玉葉集・雑二・題しらず・藤原頼景・2104) 現代語訳 夕べの潮が満ちるにまかせて港の葦の間に浮かんでいる海士の捨て舟。 内容解説 夕べの海の情景です。おだやかな、静かな波間に夕方の光がみち…

雑の和歌 朝起きたくない、仕事に行きたくない日のこと ― 起きて今朝また何事をいとなまんこの夜あけぬとからす鳴くなり

朝の心を 起きて今朝また何事をいとなまんこの夜あけぬとからす鳴くなり (玉葉集・雑二・読人しらず・2141・14世紀) 現代語訳 「朝」という歌を(朝が来て)目が覚めて、今朝もまた(一日が始まったとて)いったい何をしようというのだろう。この夜も明け…

嘆きの和歌 言わなきゃよかった ― 思ふこと言はでぞただにやみぬべき我と等しき人しなければ

むかし、男、いかなりけることを思ひけるをりにかよめる。 思ふこと言はでぞただにやみぬべき我と等しき人しなければ (『伊勢物語』一二四段/ 引用元:新編日本古典文学全集 小学館) 現代語訳 むかし、ある男が、どんなことを思った時だったのだろうか、…

哀傷の和歌 あなたはもう、この世のどこにもいないのですね ― うつくしと思ひし妹を夢に見て起きてさぐるになきぞかなしき

うつくしと思ひし妹を夢に見て起きてさぐるになきぞかなしき (拾遺集・哀傷歌・題しらず・よみ人しらず・1302) 現代語訳 (あなたが死んで、あれから幾日たったのでしょうか。誰よりも)愛したあなたを夢に見て、(あなたはまだそこにいたのかと目が覚めて…

嘆きの和歌 いい事なんて、何ひとつなかった ― 待つことのあるとや人の思ふらん心にもあらでながらふる身を

としごろ沈みゐてよろづを思ひ嘆きてはべりけるころ 待つことのあるとや人の思ふらん心にもあらでながらふる身を (後拾遺集・雑三・藤原兼綱/男性・983) 現代語訳 長年落ちぶれて全てを思い嘆いておりましたころ(これほど絶望に満ちた人生を送っている私…

雑の和歌 雨の夜に生涯をふりかえる ― 夜もすがら涙も雨もふりにけり多くの夢の昔語りに

雨夜老人思といへる心を夜もすがら涙も雨もふりにけり多くの夢の昔語りに (続後撰集・雑歌下・大納言隆親・1206・13世紀) 現代語訳 雨の夜の老人の物思い、という主題を(雨の夜に、過ぎ去った過去のあれこれを思っていると、若かった頃のこと、亡くなった…