源さねあきら、たのむことなくは死ぬべしといへりければいたづらにたびたび死ぬといふめれば逢ふには何を替へんとすらん (後撰和歌集・恋三・中務/女性・707・10世紀) 現代語訳 源信明が、「(中務に)逢えないなら死にたい」と言ってきたので、(ふつう…
(今朝あなたと別れてからずっと)わびしさを(抱えて耐えかねていましたが、あなたもわたしと)同じ心(で今朝の別れをつらいと思っていらっしゃる)と聞いたために、我が身を捨ててもよいほどあなたがいとおしく思われることです。
をとこのもとにつかはしけるはかなくておなじ心になりにしを思ふがごとは思ふらんやぞ (後撰和歌集・恋一・中務/女性・594・10世紀) 現代語訳 (あなたが私をどれほど愛しているか)確かめないまま同じ心になってしまいましたものの、(私があなたを)愛…
朝影にあが身はなりぬ玉かぎるほのかに見えて去にし子ゆゑに (万葉集・巻第十一・正述心緒・2394・8世紀) 現代語訳 朝方の(薄く弱々しい)影のように、わたしの身は(やつれて細く)なってしまいました。ほのかに(私の目の前に)現れてそのまま去って行…
恋すればわが身は影となりにけりさりとて人に添はぬものゆゑ (古今和歌集・恋歌一・題しらず・読人しらず・528・10世紀) 現代語訳 (あなたに)恋をしたせいで、私は影のように(やせ細って弱々しく)なってしまいました。だからといって(影のように)あ…
五月雨の空なつかしきたもとかな軒のあやめの香るしづくに(拾玉集・秀歌百首草・夏十五首・慈円/男性・3087・12世紀) 現代語訳 五月雨の空に心ひかれる(までに香るわたしの袖の)袂であることよ。軒に葺いたあやめが香る(五月雨の雨とともにしたたりお…
何もせで花を見つつぞ暮らしつる今日をし春のかぎりと思へば (躬恒集・屏風・凡河内躬恒/男性・407・9世紀) 現代語訳 何もせず(ただ)花だけを見て過ごしています。今日がこの春の最後の一日だと思えばこそ。 内容解説 そして、躬恒に戻る。いいなあ。「…
花のうたあまたよみ侍りける時仏にはさくらの花をたてまつれわがのちの世を人とぶらはば (千載集・雑歌・西行/男性・1067・12世紀) 現代語訳 花の歌をたくさん読みましたとき(に詠んだ歌)(わたしが死んだら、)仏となった私に桜の花を供えてほしい。わ…
落花のこころをよみ侍りけるはかなさを恨みもはてじさくら花うき世はたれも心ならねば (千載集・雑歌・覚性法親王/男性・1053・12世紀) 現代語訳 落花(を思う)心を詠みました(歌)(散る花の)はかなさを恨み続けることはするまい。桜の花よ。憂き世は…
ながらへて生けらばのちの春とだに契らぬさきに花の散りぬる (新後撰集・雑歌・後深草院弁内侍/女性・1252・13世紀) 現代語訳 (私がこの命を)ながらえて生き続けることができたならば、また次の春に(きっとお逢いしましょう)と、せめてそれだけで も…
五十の御賀すぎてまたの年の春、鳥羽殿のさくらの盛りに、 御前の花を御覧じて、よませ給うける心あらばにほひを添へよさくら花のちの春をばいつか見るべき (千載集・雑歌・鳥羽院/男性・1052・12世紀) 現代語訳 五十歳の祝賀を行った次の年の春、離宮の…
The retired emperor composed this waka when he saw a fully bloomed sakura-flower at his Imperial villa in the spring of the year after his 50th birthday ceremony. Kokoroaraba nioiwosoeyo sakurabana nochinoharuwoba itsukamirubeki. (The Senz…
なほ折りて見にこそゆかめ花の色香散りなむのちは何にかはせん (躬恒集・屏風・凡河内躬恒/男性・420・9世紀) English(英語で読む) 現代語訳 やはり(桜の枝を)折って見に行こう。(どれほど美しく咲いていても)花の色と香りは、散ってしまったとした…
Naoorite minikosoyukame hananoiroka chirinannochiwa naninikawasen. (Mitune-collection・Byobu (a holding screen), Ōshikōchi no Mitsune (male), 420, 9C) Japanese(日本語) Translation into modern Japanese Well, let have a piece (of the sakur…
桜花咲ける尾上は遠くともゆかむかぎりはなほゆきて見む (躬恒集・屏風・凡河内躬恒/男性・415・9世紀) 現代語訳 桜の花が咲いている山の頂は(どれほど)遠くとも、行きうる限りはやはり(桜を見に)行って見たいよ。 内容解説 春と言えば桜だ、というの…
Sakurabana sakeruonoewa tohkutomo yukamukagiriwa naoyukitemin (Mitune-collection・Byobu (a holding screen), Ōshikōchi no Mitsune (male), 415, 9C) Japanese(日本語) Translation into modern Japanese Even though the place where Sakura has bl…
あひ見てはなぐさむやとぞ思ひしを名残しもこそ恋しかりけれ (拾遺集・恋二・題しらず・坂上是則・711・10世紀) English(英語で読む) 現代語訳 (あなたに)逢ってみたら(今までのつらい気持も)慰められるだろうと思ったのに、(あなたに逢った)その…
Aimitewa nagusamuyatozo omoishiwo nagorishimokoso koishikarikere. (The Shūi Wakashū (Love 2), Unknown subject, Sakanoue no Korenori, 711,10c) 日本語(Japanese) Translation into modern Japanese I thought meeting (with you) could eased me (th…
題しらず夢よ夢恋しき人にあひ見すなさめてののちにわびしかりけり (拾遺集・恋二・題しらず・よみ人しらず・709・11世紀) English(英語で読む) 現代語訳 歌の題は不明夢よ、夢。決して(夢の中で)恋しい人に逢わせないでくれ。目覚めた後に(ああ夢だ…
Unknown subject Yumeyoyume koishikihitoni aimishuna sametenonochini wabishikarikeri. (The Shūi Wakashū (Love 2), Unknown subject, Unknown author, 709,11c) 日本語(Japanese) Translation into modern Japanese Unknown subject Alas, dream, Pleas…
賀茂に常につかうまつりける女房の、久しく参らざりける、夢に、ゆふしでのきれに書きたりけるものを、直衣着たりける人の賜はせけるを見れば、 思ひ出づや思ひぞ出づる春雨に涙とり添へ濡れし姿をとありけるを見て、夢さめにけり。あはれと思ふほどに、手に…
Note: there are three parts (A, B and C) in this short story. The Waka (B part) was read within and a part of the story. Waka: Omoiizuya omoizoizuru harusameni namidatorisoe nureshisugatawo. (“The Tales of Ima”, ep29 / source: Sumito Miki …
水のほとりに梅花咲けりけるをよめる 年をへて花の鏡となる水は散りかかるをや曇るといふらむ (古今集・春歌・伊勢/女性・44・9世紀) English(英語で読む) 現代語訳 水のほとりに梅の花が咲いていたのを詠んだ(歌)ながいあいだ梅の花を映し続けて花の…
Composing a Waka by watching a Ume-flower beside a pond. Toshiwohete hananokagamito narumizuwa chirikakaruwoya kumorutoiuran. (¨Kokin Waka syuu (Collection of Ancients and Modern Poems)¨, Spring poem, by Ise, 44,9c) 日本語(Japanese) Transl…
春風にしたゆく波の数みえて残るともなきうす氷かな (壬二集・六百番歌合・春氷・藤原家隆/男性・303・12世紀) English(英語で読む) 現代語訳 春風に(吹かれて氷の)下をゆく波の数が見え(るほどに透きとおっ)て、残るともなく消え残っている薄氷である…
Harukazeni sitayukunamino kazumiete nokorutomonaki usugoorikana. (¨Minisyuu¨, The six hundreds poetry contest, Harukoori (Spring ice), by Fujiwara no Ietaka/male, 303, 12C ) 日本語(Japanese) Translation into modern Japanese A number of rip…
雪を詠む梅の花降りおほふ雪を包み持ち君に見せむと取れば消につつ (万葉集・春雑・作者不明・1833・8世紀) English(英語で読む) 現代語訳 雪を詠んだ(歌)白梅の花―(ゆっくりと)降りつもり、(梅の花を)やさしく覆うその雪を私のてのひらに包んで、…
Composing a Waka for the theme “snow”. Umenohana furioouyukiwo tutumimotchi kiminimisemuto torebakenitutu. (The Man'yōshū (Collection of Ten Thousand Leaves), Spring/other, Unknown author, 1833, 8C ) 日本語(Japanese) Translation into moder…
百首歌たてまつりし時、春の歌山ふかみ春ともしらぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水 (新古今集・春歌・式子内親王・3・12世紀) English(英語で読む) 現代語訳 百首歌を献上した時、春の歌(という題でよみました歌)山が深い(ために雪の多く積った所に…
A spring poem, for when a hundred poems was presented to the retired emperor Gotoba. Yamafukami Harutomoshiranu matsunotoni taedaekakaru yukinotamamizu. (“Shin Kokin Waka syuu (New Collection of Ancients and Modern Poems)”, Spring poem, by…