夏の和歌 夏の夕暮れ、まどろみの時 ― 入り日さしひぐらしの音を聞くからにまだきねぶたき夏の夕暮れ
入り日さしひぐらしのねを聞くからにまだきねぶたき夏の夕暮れ
(好忠集・六月をはり・曽祢好忠/男性・161・10世紀)
現代語訳
(だらだら昼寝をしていたらいつのまにか)夕日が部屋に射しこむ時間になって、ひぐらしの声を聞いたらやっぱりまだねむたい(なあと思ってごろごろ寝続ける)夏の夕暮れ。
内容解説
前回の続き。まだ寝てる。まだ寝てます。ごろごろだらだら一日を過ごしてようやく目が覚めたと思ったらもう日が傾いてひぐらしが鳴いていた。それを聞いたらまた眠くなってきて起きる気もしない夏の夕暮れ。まあ、暑いですからね。
特に解説はありません。なんでしょう、古典は日本人の伝統と文化であるからして好忠(よしただ、と読みます)にならって昼寝をしましょう、でしょうか。
古典文法解説
Q 「入り日さし」は連用形である。
A 連用形中止法、というものです。雨が降り、風が吹き、日が差し、のように連用形で文章をつなぐことがありますね。文法の教科書のかなり最初のほうに、「用言の活用形の用法」のようなページがあると思います。未然形、連用形、終止形……とならんでいて、その主な用法が書いてあります。見落としがちなページですがけっこう役に立ちますのでご一読を。
Q 「からに」
A ~が原因で、~ゆえに、~と同時に、という意味です。重要古語ではありません。
品詞分解
名詞/サ行四段活用動詞「さす」連用形/名詞/格助詞/名詞/
入り日/さし/ひぐらし/の/音/
格助詞/カ行四段活用動詞「聞く」連体形/助詞/格助詞/
を/聞く/から/に/
名詞/ク活用形容詞「ねぶたし」連体形/名詞/格助詞/名詞
まだき/ねぶたき/夏/の/夕暮れ