2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧
むかし、男、いかなりけることを思ひけるをりにかよめる。 思ふこと言はでぞただにやみぬべき我と等しき人しなければ (『伊勢物語』一二四段/ 引用元:新編日本古典文学全集 小学館) 現代語訳 むかし、ある男が、どんなことを思った時だったのだろうか、…
春のあしたといふ事をひらけそふ木ずゑの花に露みえて音せぬ雨のそそく朝あけ (風雅集・春歌・進子内親王/女性・198) 現代語訳 次々と開いて数が増えてゆく梢の桜に(ちいさな)露が見えて(いると思ったら、そうではなくて)音もたてない(やわらかな)…
夕花を花のうへにしばしうつろふ夕づく日いるともなしに影きえにけり (風雅集・春歌・永福門院/女性・199) 現代語訳 (夕方の光に照らされた)花の上にしばし揺らぎとどまる夕日(を見つめていたら)、いつ沈んだともわからないうちにふっと消えてしまい…