和歌ブログ [Japanese Waka]

国文系大学院生がひたすら和歌への愛を語る記録

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

雑の和歌 おとうさんといもうと(むずかしいお年ごろ) ― ひとりには塵をもすゑじひとりをば風にもあてじと思ふなるべし

おねえちゃんばっかりずるい! まあ、あるよねえ。お姉さんはもう就職しているのです。「内に侍るむすめ」ですから内裏にお仕えしているエリート女性です。内裏にお仕えするというのは支度だけでもけっこうなお金がかかるもので、あの十二単衣がまず高価。持…

夏の和歌 沢の水に星がうつっているかと思ったら蛍でしたよ ― 沢水に空なる星のうつるかと見ゆるはよはの蛍なりけり

宇治前太政大臣卅講ののち歌合し侍りけるに蛍を詠める沢水に空なる星のうつるかと見ゆるはよはの蛍なりけり (後拾遺集・夏・藤原良経・217) 現代語訳 沢の水に空の星が映っているかと見えたのは夜半に輝く蛍でしたよ。 内容解説 蛍、見たことがあるでしょ…

夏の和歌 あの山のむこうも、もうきっと日が暮れている ― ひぐらしの鳴く山かげは暮れぬらむ夕日かかれる峰のしら雲

ひぐらしの鳴く山かげは暮れぬらむ夕日かかれる峰のしら雲 (内裏百番歌合・夏・藤原知家・70) 現代語訳 ひぐらしの鳴く山陰は(もうそろそろ日が)暮れているようだ。夕日がかかっている峰の白雲(が茜いろに染まっているよ)。 内容解説 夏の夕暮れはよい…

夏の和歌 木の葉に雨がたたきつけられてセミの声が静かになる ― 蝉のこゑは風にみだれて吹きかへす楢の広葉に雨かかるなり

蝉のこゑは風にみだれて吹きかへす楢の広葉に雨かかるなり (風雅集・夏歌・夏の歌の中に・二品法親王尊胤・419) 現代語訳 (真夏の日差しが照りつける中、急に吹き下ろした冷たい風に)蝉の声は風に乱れて吹き返される。(にわかに空がかき曇ったかと思う…