和歌ブログ [Japanese Waka]

国文系大学院生がひたすら和歌への愛を語る記録

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

恋の和歌 それ以上に愛しています ― わびしさをおなじ心ときくからにわが身をすてて君ぞかなしき

(今朝あなたと別れてからずっと)わびしさを(抱えて耐えかねていましたが、あなたもわたしと)同じ心(で今朝の別れをつらいと思っていらっしゃる)と聞いたために、我が身を捨ててもよいほどあなたがいとおしく思われることです。

恋の和歌 同じように愛している? ― はかなくておなじ心になりにしを思ふがごとは思ふらんやぞ

をとこのもとにつかはしけるはかなくておなじ心になりにしを思ふがごとは思ふらんやぞ (後撰和歌集・恋一・中務/女性・594・10世紀) 現代語訳 (あなたが私をどれほど愛しているか)確かめないまま同じ心になってしまいましたものの、(私があなたを)愛…

恋の和歌 一瞬の、君 ― 朝影にあが身はなりぬ玉かぎるほのかに見えて去にし子ゆゑに

朝影にあが身はなりぬ玉かぎるほのかに見えて去にし子ゆゑに (万葉集・巻第十一・正述心緒・2394・8世紀) 現代語訳 朝方の(薄く弱々しい)影のように、わたしの身は(やつれて細く)なってしまいました。ほのかに(私の目の前に)現れてそのまま去って行…

恋の和歌 あなたの影になりたい ― 恋すればわが身は影となりにけりさりとて人に添はぬものゆゑ

恋すればわが身は影となりにけりさりとて人に添はぬものゆゑ (古今和歌集・恋歌一・題しらず・読人しらず・528・10世紀) 現代語訳 (あなたに)恋をしたせいで、私は影のように(やせ細って弱々しく)なってしまいました。だからといって(影のように)あ…

五月雨の和歌 あやめの香る雨のしずくに ― 五月雨の空なつかしきたもとかな軒のあやめの香るしづくに

五月雨の空なつかしきたもとかな軒のあやめの香るしづくに(拾玉集・秀歌百首草・夏十五首・慈円/男性・3087・12世紀) 現代語訳 五月雨の空に心ひかれる(までに香るわたしの袖の)袂であることよ。軒に葺いたあやめが香る(五月雨の雨とともにしたたりお…