和歌ブログ [Japanese Waka]

国文系大学院生がひたすら和歌への愛を語る記録

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

夏の和歌 夏の納涼、ふたり連れ ― みそぎする賀茂の河風吹くらしも涼みにゆかん妹をともなひ

みそぎする賀茂の河風吹くらしも涼みにゆかん妹をともなひ (好忠集・六月中・曽祢好忠/男性・174・10世紀) 現代語訳 六月祓をする賀茂の川風が(涼しく)吹いているようだ。涼みに行こう。妻といっしょに。 内容解説 前回と、前々回の続き。ごろごろだら…

夏の和歌 夏の夕暮れ、まどろみの時 ― 入り日さしひぐらしの音を聞くからにまだきねぶたき夏の夕暮れ

入り日さしひぐらしのねを聞くからにまだきねぶたき夏の夕暮れ (好忠集・六月をはり・曽祢好忠/男性・161・10世紀) 現代語訳 (だらだら昼寝をしていたらいつのまにか)夕日が部屋に射しこむ時間になって、ひぐらしの声を聞いたらやっぱりまだねむたい(…

夏の和歌 夏の午後、まどろみの午後 ― 妹とわれ寝屋の風戸に昼寝して日たかき夏のかげをすぐさむ

妹とわれ寝屋の風戸に昼寝して日たかき夏のかげをすぐさむ (好忠集・六月終はり・曽祢好忠/男性・178・10世紀) 現代語訳 (暑い日は)妻とわたしと寝室の(涼しい)風が通る戸の近くで昼寝をして、(だらだらと)日の高いあいだの夏の暑さをやりすごそう…

夏の和歌 涼しさがうれしいのは夏だからだよね ― 蝉の鳴く木末を分けて吹く風に夏を忘れて夏にこそあへ

蝉の鳴く木末を分けて吹く風に夏を忘れて夏にこそあへ (他阿上人集・夏・他阿上人/男性・882・13世紀) 現代語訳 蝉が鳴く木々の梢をわけて吹き下ろす風の涼しさに、(思わず)夏の暑さを忘れて(涼んだと思ったけれど、そうではなくて、夏を忘れさせるこ…